2015.9.29-10.4

Taku Ito Photo Exhibition

Taku Ito Photo Exhibition

展示紹介 / Exhibition Introduction

小学校の高学年に上がるころ、古い長屋に暮らしていた我が家に、部屋が増えることになった。それは、年頃になる姉と私の部屋にするためのものだった。
もっとも増築するわけではなく、背中合わせに建つ、裏側の家の壁を壊してつなげようというのだ。表側の我が家と違って、裏側の家はすぐ目の前に崖がせまり、いつも湿った感じがして、空き家が目立った。
 工事が終わると、台所の奥の壁はなくなり、唐突にできた廊下を私は何とも奇妙な思いで眺めていた。その先には自分の部屋があるのに、いつも廊下を渡ることに躊躇いがあった。子供の足でせいぜい10歩程で渡れたのだが、あの頃はとても長く感じて仕方なかった。  

概要 / Summary

タイトル
仙台写真月間2015 伊東卓 「 空白 」
日時
2015年9月29日(火)- 10月4日(日) 11:30-17:30 月曜定休
<関連プログラム>展示作家とゲストによるアーティストトーク
日時 2015年 10月4日(土)16:00-17:30
トーク 佐伯一麦 x 伊東卓
予約不要・参加無料
場所
ビルドスペース 塩竈市港町2-3-11
プロフィール
伊東 卓(いとう たく)
1971年 仙台市生まれ
1998 年 個展「日没の温度計」エルパーク仙台展示ギャラリー
2001 年 個展「あたたかい岸」artspace 宙
2002 年 個展「town」artspace 宙
2003 年 個展「新town」re:bridge edit
2006 年 個展「遠い一群」artspace 宙
2009 年 個展「たいら」ギャラリー青城
2011 年 二人展「311 以降」gallery COEXIST
     個展「ROOMS」SARP
2012 年 企画展「東北より」ニコンサロンbis 大阪
     個展「ROOMSⅡ」SARP
2013 年 個展「ROOMSⅢ」SARP
2014 年 個展「漂う昼 ROOMSⅣ」birdo space

佐伯一麦(さえきかずみ)
1959年仙台市生まれ。作家。
高校卒業を前に上京。電気工など様々な職業を経て作家になる。『木を接ぐ』野間文芸新人賞、『ア・ルース・ボーイ』三島由紀夫賞、『遠き山に日は落ちて』木山捷平文学賞、『鉄塔家族』大佛次郎賞、『ノルゲ Norge』野間文芸賞、『還れぬ家』毎日芸術賞、『渡良瀬』伊藤整文学賞。他の著書に、『一輪』『少年詩編』(文庫本は『あんちゃんおやすみ』に改題)、『川筋物語』、『石の肺アスベスト禍を追う』、『震災と言葉』、『誰かがそれを』、『光の闇』、『とりどりの円を描く』、『麦主義者の小説論』他多数。